音楽読みもの Kawasaki Music Magazine Vol.18

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フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2007 首都圏9オーケストラ勢ぞろい――クラシックがぐっと身近に  「音楽のまち・かわさき」夏の最大イベント、「フェスタ サマーミューザ」が今年も7月25日から8月12日までミューザ川崎シンフォニーホールを舞台に開催される。東京交響楽団をはじめ首都圏で活躍する9オーケストラを中心に多彩なプログラムを展開、クラシック音楽がグッと身近に感じられる一大イベントだ。今年は、4歳から入場できる「こどもフェスタ」を初めて企画、オーケストラやオルガン演奏、クラシックとジャズのピアノによるコラボレーションなど魅力的なプログラムにあふれ、親子連れらの人気を集めそうだ。同フェスタで東京交響楽団を指揮し、楽しいトークでこどもたちを魅了するヘルベルト・フォン・ホリヤンこと堀俊輔さんに、「こどもフェスタ」の狙いや楽しみ方などについて聞いた。

こどもたちに最高の音楽を 堀俊輔さんインタビュー


――40歳で正式デビュー、と「遅咲き」ながら、今では実力派指揮者として活躍する堀さんが、子ども向けの演奏活動にも力を入れ始めたのは五年前だった。
 プロの指揮者にとって、小中学生らを対象とした「音楽鑑賞教室」(略してオンキョウ)はいわば「修行の場」であり、やがては卒業する時期がきます。私もいったんは卒業しました。でも、あるとき、沖縄・西表島でのオンキョウで、こどもたちが演奏に感動し、涙を流すのを見てこちらの方が感動させられたんです。「音楽って伝わるんだなぁ」と実感、同時にこのジャンルで第一人者になってやろうと思ったんです。

―― 堀さんは、国内はもとより、ヨーロッパでも精力的に演奏活動を展開し、オーケストラのみならず合唱指導者としても、東響コーラスの創立、育成など、その手腕は高く評価されている。
 大人向けの「芸術的な演奏会」とオンキョウは私の活動の両輪。そもそもコンサートに大人もこどももない。「盛り付け」(聴かせ方)が多少違うだけです。集中力に乏しく、音楽にあまり興味の持てないこどもも交じるコンサートでこどもたちの心を引き付けることができたら、私の音楽レベルもなかなかのもの、と自負していいのでは? そのためにはいつも最高の演奏をし続けたいですね。

――聴き手に満足してもらうコンサート作りのために、選曲はもちろんのこと、演奏の前や合間のトークもすべて堀さんが受け持つ。
 トークは音楽をより良く聴いてもらうための潤滑油。面白くてもお笑い芸人のようなものではダメですね。音楽を損なわず、しゃべりすぎず、会場のお客様の顔を見ながら語りかけます。
 どんなにいいコンサートでもこどもたちの「感動」はやがて消えてしまいます。でも、いい音楽を聴いて「ちょっとしたウキウキ感」を感じ、また聴きにいきたいな、と思ってもらえればそれでいい。その積み重ねが音楽への感性を育て、クラシック音楽の裾野を広げていくのです。

――年間30〜40回のこども向けコンサートをこなす堀さんは、日本の音楽教育プログラムが遅れていると憂える。
 ベルリンフィルは、きっちとした教育プログラムと、それを実践するための教育セクションを持っている。私も、よりいっそう研さんを積もうと思っています。

――「こどもフェスタ」では、ビゼーの歌劇「カルメン」前奏曲などおなじみの名曲の他、久石譲の「となりのトトロ」をナレーションとオーケストラで聴かせる。
 タイトルにあるように、「オーケストラとあそぶ」つもりで来てほしい。アニメで親しんだ「となりのトトロ」のメロディーを一流のオーケストラで楽しむという、ぜいたくさも味わってほしい。いろいろな映像が鮮明によみがえってくるでしょう。
 「フェスタ サマーミューザ」は、「こどもフェスタ」の他にも、素晴らしいプログラムが並んでいます。でも、まず8月1日の「オーケストラとあそぼう!」を聴いてもらえれば、他のコンサートの感動が2倍にも3倍にもなるでしょう。

堀俊輔(ほり・しゅんすけ)さん
 早稲田大学英文科を経て東京芸術大学で作曲と指揮を学ぶ。指揮科卒業後1989年東京交響楽団副指揮者に就任。91年にはニューヨーク州シラキュース響定期を指揮し、アメリカデビューを飾った。94年オラトリオ東京を創立し、音楽界に新風を巻き起こす。98年にはニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でレヴァイン、ゲルギエフの下で研さんを積む。2001年サンクトペテルブルグ音楽祭、04年にはリスボン市管弦楽団客演などロシア、ヨーロッパへも活動範囲を広げている。特に東響との共同作業には定評があり、シューマン「楽園とペーリ」(レコード芸術特選)のほか多数のCDがリリースされている。シュトゥットガルト・バッハ2006で指揮部門最優秀賞。著書にヘルベルト・フォン・ホリヤンの「モーツァルトは振るべからず」(カワイ出版)「本日も満員御礼!」(ヤマハ・ミュージック・メディア)。 
 愛称のヘルベルト・フォン・ホリヤンは芸大時代、苗字の「ほり」に、出身地・大阪流に「○○やん」をつけ、尊敬するヘルベルト・フォン・カラヤンをもじって学生仲間から自然に呼ばれるようになった、という。